今回のコンプガチャに関する消費者庁のコメントの不自然さ
詳しくは「「カード合わせ」に関する景品表示法（景品規制）上の考え方の公表 及び 景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて」をご覧ください。
ネトゲユーザーにとって関心のあるであろう所だけまとめると、
- 「通常のガチャ」→「景品」じゃないので景表法の対象外
- 「コンプガチャ」→「懸賞景品制限告示第５項（･･･）に該当し、同項の規定によって禁止されます。」
要するに、今回のコメントは「コンプ」を問題にしているのであって、「ガチャ」については「景品表示法の景品規制は及びません」（４項（２）イ）と確認するに留めている。
ガチャ商法に好意的に解釈すれば、「ガチャそれ自体には問題はない」ということかとも思えるんですが、そもそもガチャについては（景表法上は）何も判断してません。
ただ全体としてみた場合、どうも不自然な印象を受けます。
というのも、コメントの中で何度と無く「ガチャ」の仕組みが「偶然に支配」されていることを述べ（２、３項）、かつ「絵合わせ」が禁止される理由として「射幸心をあおる度合いが著しい」ことを指摘しつつも（4項（１）イ）、むしろ議論の重点は「コンプガチャは景品だが、ガチャは商品取引そのものである」ということに置かれているからです。
いや、景表法である以上、景品であるかどうかが重要なのは当然だ、って思う方も居ると思います。
しかし、偶然性や射幸心が問題であるとするなら、ガチャもコンプガチャもまとめて景表法で規制する（＝禁止ではないですよ？）という道もあったと思うんです。
つまり
「フリーミアムのネトゲは、商品そのものはゲームサービス（無料であっても）であり、そしてガチャ一般はすべてそれに付随する「景品」であり、「偶然」を利用している点で「懸賞」である。」
とガチャ全般を括った上で、「コンプガチャは「絵合わせ」に当たるので禁止である」といったように。
ガチャとコンプガチャを変に分けるより、考え方としてはおそらくこれが一番すっきりしています。
だって、ネトゲはあくまで「ゲームサービス」こそが商品本体じゃないですか。
どのネトゲの規約を見ても、「ゲームに関するサービスの提供」について、運営とユーザーの関係を記載してあるはずです。
だからガチャはどこまで行ってもオマケなんですよ。
そして、そのオマケのうち、コンプガチャは悪質なので禁止ですよ、と。
にもかかわらず、上記コメントではこう書かれています。
有料のガチャによって一般消費者が得ている経済上の利益は、一般消費者と事業者間の取引の対象そのものであるといえます。言い換えれば、有料のガチャによる経済上の利益は、事業者が有料のガチャとは別の取引を誘引するために、当該取引に付随させて、一般消費者に提供しているものではありません（景品類指定告示第１項。前記４(1)ア参照）。
したがって、有料のガチャによって一般消費者が何らかの経済上の利益の提供を受けたとしても、それは景品表示法上の景品類には該当せず、景品表示法の景品規制は及びません。
ガチャは「取引そのもの」であり、景品（オマケ）ではないと。
なので「景品表示法の景品規制は及びません。」（※適法だ、などとは述べていません）
「偶然に支配」されているガチャが、「取引そのもの」であり、「景品表示法」の対象外であるということ。
これが何を意味するのか・・・？
結論から言えば、今回のコメントは「ガチャはセーフ」と言うよりは、むしろ「ガチャ」それ自体への「風適法」による規制の予告にしか見えないんですよ。
つまり今回のコメントの隠れた主旨は
「偶然に支配されたガチャは、取引そのものである以上、風適法に定める「射幸心をそそるおそれのある遊技」にあたるため、警察庁の管轄にあたる（消費者庁の管轄ではない）」ことを確認すること。
そうして、省庁間の管轄の線引きをはっきりさせることにあったのではないか、と。
というか、そもそもネトゲのガチャが、一般のガチャガチャ（カプセルトイ）と同じ仕組みだ、と述べている時点で、「ガチャそれ自体は、風適法の規制対象ですよ」と言っているようにしか見えない。
自分の理解が正しければ、いわゆる「一般のガチャガチャ（カプセルトイ）」って、 あれは「プライズゲーム」であって、「射幸心をそそるおそれのある遊技」として、風適法第2条第1項第8号営業でしか認められていないものですよね？
というわけで、今回のコメントは「消費者庁と警察庁の間での管轄のすり合わせが終わり、いよいよ本格的に警察庁が乗り出してくる前触れ」なのではないかと・・・。
その場合、何か運用基準を定めてネトゲのガチャを第八号なりに分類するのか、新たな分類を作るのかはわかりませんが・・・。
まあ、あくまで素人考えなんで、ゆめゆめ真に受けませんように･･･
