初めてのiPad:iPad pro11 VS Surface3 ①
今まではタブレットとしてはSurface3とGalaxy Tab S3を主に使ってきたのだが、新型iPad proがあまりにも良さげだったので、このたび初めてiPadなるものを購入することにした。(iPad pro11)
そして使用して約1か月、「さすがiPad」と思うこともあれば、「やっぱSurface proを買うべきだったかなー」と思うこともあり、と、色々と考えるところがあったので、今回はSurface3と比較した感想を述べてみたい。
とはいえ、単なる比較や感想ならすでにたくさん出ているし、基準を明確に限定せずに比較しても「結局は個人の好み」といった月並みな感想にしかならない。
そこで、なるべく他とは違う観点から評価を行うため、ここでは僕個人の用途に限定し、基準を明確にしながら比較を行いたい。
そこでまず自分の用途をざっくり説明すると、僕は現在いくつかの大学や看護学校などで講義を受け持っており、資料をプロジェクターで映して授業を行っている。
また学生たちのレポートやその他の研究・講義資料をonedriveやdropboxで管理し、自宅や外出時に採点・編集・作成などを行っている。
また長距離移動の際に、動画閲覧を行ったりゲームをしたりする。
とまあ、ざっとこのような使い方をしているわけだが、こうした用途から評価ポイントとして以下の点が挙げられる。
- プロジェクターでの講義のしやすさ
- 資料作成のしやすさ
- ファイル管理のしやすさ
- バッテリー持ち・軽量さなど機動性
- 娯楽を含めた総合性
このうち今回は1に絞って、surface3と比較して評価を行いたい。
①プロジェクターでの講義
先にも書いたように、僕は現在いくつかの大学で講義を受け持っている。
その際、板書中心で授業をすると、ただ写すだけの生徒が続出する/手間がかかるわりに情報量が少なくなる/スーツがチョークの粉で汚れる、などの問題が起きるし、またレジュメ中心で授業をすると、寝る学生が続出する/資料貰ったら退出する学生が出るなどの問題が起こり、あれこれ試行錯誤した挙句、PDF資料をプロジェクターで見せつつ、ペンで資料に書き込むというスタイルに落ち着いた。
その際、いままでは端末としてSurface3、アプリはDrawBordを用いていたのだが、やはりスペック的な問題なのか、アプリがフリーズしたり、ペンの追従が遅くなり文字が崩れる、などの弊害が出ていた。
そこでiPad pro11を用いればよりスムーズになるのではないか、と思ったのが購入の大きな動機の一つである。
以下、ポイントを絞って評価していきたい。
- プロジェクターとの接続のしやすさ
- アプリの挙動
- ペン入力のしやすさ
- セキュリティ管理
・接続のしやすさ:Surface3 ◎ iPad pro11 △
まずプロジェクター装置との接続のしやすさである。
これについては残念ながら、Surface3の方が良い。
まず多くの大学はいまだにVGA接続の機器を使っている。
したがって変換ケーブルが必要になるわけだが、USB-typeCであるiPad pro11なら、まあ別にこれは問題はない。変換ケーブルを買えば良いだけの話だ。
問題は、無線で接続しようとした場合である。
僕は講義中に前に貼りつくのでなく、学生に質問したりなど、あちこち動き回るので、無線接続で使えるようにしたいのであるが、ここでiPad proでは思わぬ苦労を強いられた。
まず第一に、AirPlayで接続すると、なぜか投影される画面が小さくなるのである。
変換ケーブルを使って有線で接続すると、ちゃんと普通の大きさなのだが、なぜか無線だと小さくなってしまう。
教室にプロジェクターのリモコンがあって、画面サイズを操作できるときはいいのだが、教室によってはリモコンが無く、プロジェクター台を前後に移動させて大きさを調整するしかない時があって、これがめんどくさい。
第二に、ときどき講義で動画を見せるときがあるのだが、AirPlayだと音声が出ないのである。
正確には、AirPlay用コネクタ→HDMI-VGA変換ケーブル→プロジェクタという接続をするので、AirPlayから音声がプロジェクタに届かないわけだ。
まあSurface3でも、miracast用コネクタ→HDMI-VGA変換ケーブル→プロジェクタという接続をするので、プロジェクタに直接音声を流せるわけではない。
だから別途Bluetoothスピーカーを用意して、画面をプロジェクターに映しつつ、音声をBluetoothスピーカーにつないで流していたわけだ。
だが、iPad pro11ではこれもできない。
なぜかと言えば、AirPlay使用中はBluetoothに音声が行かないからである。
いろいろと試行錯誤してみたがどうやっても無理で、残念ながらiPad pro使用時は有線で繋ぐしかないという結論に至った。
他にも、windowsだとプロジェクターで画面を映す際にも複製と拡張を選べるので、学生たちに資料の画面を見せながら、Surfaceの画面では別の作業を行う(例えば学生の様子をonenoteにメモっておくなど)といったことができたのだが、iPad proは複製モードしかないので、その点でもSurfaceのほうが便利である。
・アプリの挙動 Surface3 × iPad pro11 〇
まあ、これは当然ながらスペックで圧倒的に上回るiPad proの圧勝である。
当初は、windowsのDrawbordに匹敵するアプリがあるのかどうか心配していたが、iPadにもGoodnoteという素晴らしいアプリがあって、これが大変使いやすい。
まあスペックでSurface3と比べるのはどうよ、と思われるかもしれないが、問題は端末の重量である。
大学によっては1時間近い通勤時間があるので、あまり重い端末は持ちたくないのだ。
Surface Proの購入をためらっていたのも、ひとえに僕の場合重さが重要な要因だからである。
そして重量という点からすれば、Surfaceシリーズで最も軽い端末の一つであるSurface3よりも軽量でありながら、それを圧倒するスペックを誇るiPad pro11は、やはり革新的な端末であると評価できるだろう。
・ペンの書きやすさ Surface3 〇 iPad pro11 ◎
これはとても微妙な所である。
確かにペンの追従性という点では、素のスペックの高さということもあり、新型Apple pencilの方が上である。
またSurface3は側面にマグネットがついておらず、それに対しマグネットでペンを端末側面に固定できるiPad pro11の方が便利である。
が、やはりボタンや消しゴム機能が無いのがいまいちである。
確かに新型Apple pencilはタップ機能があるとはいえ、これに対応しているアプリ自体が少なく(例えばonenoteは対応していない)、またgoodnoteではペンと消しゴムを切り替えるくらいしかできない。
surfaceペンであれば、輪投げ選択と消しゴムが使えるのが本当に便利で、例えば学生たちに説明しながら資料にぱぱっと図を描き、それを輪投げでくるっと囲んで縮小・拡大して移動しつつ、いらない部分を消しゴムで消す、なんてことが連続でできるわけだが、iPad pro11とGoodnoteだと、輪投げ選択の際にはいちいち画面をタッチしないといけない。
とはいえ、まあ慣れてくればこれはそれほど面倒とは感じなくなってきた。
何よりも、Apple pencilが現状大きくsurfaceペンを上回っているのが、ワイヤレス充電である。
これまで肝心な時に電池切れで泣かされてきたので、電池の心配をしなくてよいというだけで、本当に助かる。というわけで、iPad pro11の勝ち。
・セキュリティ Surface3 〇 iPad pro △
ニュースなどで、教師が授業中にうっかりエッチな画像や動画を生徒たちに見せてしまい大騒ぎになった、といった話を聞いたことはないだろうか?
これは結構笑えない話で、まあたとえエッチな動画は無いにしても、講義中にいかがわしい商品案内のメール通知が来たり、ブラウザのいかがわしい閲覧履歴が残ってたり、閉じたはずのいかがわしいアプリが残っていたりなどすると、本当に笑いごとで済まない事態になってしまう。
いや、自分の端末を講義で使わなければいいじゃん、と思うかもしれないが、大学に設置してあるノートPCは古くて使い物にならないのである。そもそもスタイラスが使えないしね。
というわけで、できることなら、講義用のアカウントと、私用のアカウントを使い分けることが望ましい。
そしてその点からすればsurface3の方が便利である。
特に僕は、surface3用の指紋スキャナーを購入してwindows helloを利用しているのであるが、windows helloは指ごとにアカウントを登録できて、例えば中指で起動すると講義用アカウント、人差し指なら私用のアカウント、といった使い分けができ、一瞬でアカウントを切り替えられるのである。
それに対しiPad proはこうした複数のアカウントの使い分けができない。
また探してみた限りでは、全通知を一括でオフにするといったこともできなさそうである。
一応、ホーム画面には変なアプリは置かないようにしてはいるものの、看護学校で多数の女の子を相手にして講義している時に、うっかり変な操作をしてGoodnoteからホーム画面やタスク履歴画面に移動したりすると、本当にヒヤっとしてしまう。
結論 Surface3の辛勝
というわけで、確かにiPad pro11のほうが、アプリはぬるぬる動くし、PDF資料を激しく拡大・縮小してもフリーズすることもないし、ペンの書き心地も大変スムーズであるのだが、プロジェクターとの接続のしやすさという点でかなり致命的な問題がある、というのが結論である。
とはいえまあ、Appleの開発者だって、まさか日本の大学のほとんどがいまだにVGA接続の機器を使ってるなんて思ってないだろうから、その点でiPadを低く評価するのは酷といえば酷かもしれない。
しかし、まさにそうしたレガシー環境にも対応できてしまうというのが、windows端末の強みと言えば強みでもあるわけで。
ただ次回以降で見るように、純粋なタブレットとしての総合性という点では、iPad pro11は本当に素晴らしい端末である。