Zenpad S8.0(Z580CA)レビュー:Zen stylusの機能性を中心に
えー、以前ASUSのvivotab note8を愛用している旨を書いてたんですが、実は半年ほど前にひょんなことからお亡くなりになってしまったんですね・・・。
vivotab note8は、色々不具合もありましたが、本当に僕にとっては神機で、仕事に娯楽にと大活躍してくれました。
特に、デジタイザが本当に良かった。
Onenoteでメモを取り、図を描いたり表を書いたりしながらアイデアを出し、PDFに書き込みをし、プレゼンでペンでスライドに書き込みをし、などなど・・・。
これに慣れたらデジタイザなしではもう生きられないくらい、仕事のスタイルが決定的に変わりました。
そのため後継機を探していたのですが、これがなかなか見つからない。
用途としてはsurfaceが合うんですが、あれだと重すぎるんですね。
無駄に高機能で高いし・・・。
なわけで、ひとまずNECのTW710を買ってみたんですが、これまた560gと少し重い。
vivotab note8ほどの軽量さ、取り回しの良さは得られない。
NEC LaVie Tab W (Atom Z3795/4GB/64GB/Win 8.1 with Bing/Office H&B 2013/10.1インチ) PC-TW710T2S
- 出版社/メーカー: NEC
- 発売日: 2014/12/04
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログを見る
あとはvivotab note8の唯一の欠点として、メモリの少なさを感じていたので、できればメモリは4Gは欲しい。
8インチで、デジタイザ対応で、メモリ4Gで、割とお手頃価格なタブレットはないかなー、と思っていたところで出てきたのが、同じASUSのこのZenpadS8.0 Z580CAだったわけです。
もちろんandroid機なので実用性には疑問点もあったんですが、最近はofficeもandroid版も出ているし、android版onenoteもあります。
さらに、確かにwindowsは実用性では優れているものの、それ以外の面では明らかにandroidに及びませんからね。
閲覧・娯楽・メディア面で優れたandroid機が、さらに実用面でも仕事に使えるようになれば、それこそ最強なのではないか。
そういう期待も込めて買ってみて、すでに3カ月ほどたちますので、この辺りで特にデジタイザの使い勝手を中心としてレビューをしてみたいと思います。
1.外観など
色々悩んだのですが、自分は白を購入しました。
裏側とか汚れそうだなーと思ってましたが、案の定汚れましたw
というわけで、現状では黒のソフトカバーをつけています。
カバーも色々試しましたが、最終的にこれに落ち着きました。
滑りづらくて持ちやすく、軽量で、見た目もなかなかです。
これならはじめから黒にすればよかったなーと思いつつ、真っ白の美しさを短期間でも堪能できたので後悔はしていません。
これから白を買う方は、最初からカバーつけた方がいいですよ。
ちなみに、ペンホルダーがついているケースはやめた方がいいです。ペンをタブレットの近くに置いておくと、勝手に反応し続けてペンの電池があっという間になくなるからです。
液晶はさすが綺麗です。
自分はアンチグレアのフィルムを貼ってますが、フィルムのマットさと高解像度がマッチして、風景写真などを映すとさえぎるガラスが無いような感覚になります。
また後で述べるバッテリー問題により、明度は下げることになると思うので、日中の映り込みを避けるためにも、アンチグレアフィルムのほうが良いのではと思います。
まあ好みの問題ではありますが。
2.バッテリー問題
さて、このZ580CAについて真っ先に挙げられるのがバッテリー問題です。
高解像度(2048x1536)でありながら、バッテリーが4000mAhしか積んでいないため、少し負荷のかかるアプリを起動するとあっという間にバッテリーが無くなってしまう、という問題です。
これについて僕の実感で言いますと、確かにバッテリーの消耗は激しいと思います。
試しに3Dのゲームなどを起動してみると、30分で10%以上減ることがあります。
外出時などでも、画面の明るさなどに気を使わないと、かなり消耗は激しいように思います。
とはいえ、そもそも僕は負荷のかかるゲームなどはしないので、言われるほどひどいとは感じていません。
特にこのZ580CAはスリープ時の電力管理が調整されており、使わない場合にはほとんど減りません。休日に持ち歩いて、地図を見たり読書したりなどわりと使った場合でも、普通に一日持つ感じです。
ただし仕事での用途の場合には、その限りではありません。
僕の場合、はじめからモバイルバッテリー併用が前提だったので、あまり気にしていませんが、がっつり使いこなしたい方で、モバイルバッテリーなんて持ち歩きたくないという人は、この端末はやめた方がいいと思います。
3.Zen Stylusの実用性
というわけで本題ですが、結論から言うと「うーん・・・」という感じです。
肝心のデジタイザについてですが、これが残念ながら良いとは言い難いんですね。
書き味については、アップデートによりかなり改善されて、アプリにもよりますが追従性も良く、筆圧にも対応し、決して悪くありません。
問題は、デジタイザの実用性を左右する以下の要素です。
・パームリジェクション
・消しゴム機能
・輪投げ機能
3.1.パームリジェクション
100均などで売っているような、先の丸い静電対応式のスタイラスに比べて、デジタイザの優れた点は「手のひらをつけながらしっかり書ける」ことにあります。
つまりパームリジェクションですね。
これが残念ながらいまいちなんです。
これについては、どうもアプリごとに対応方式が違うようで、例えばOnenoteやmetamoji noteであれば、わりとうまくパームリジェクションが機能しているようなんですが、ASUS謹製のメモアプリはもうダメダメで、すぐ手のひらの跡がついてしまう。
それを規制するには、設定から、ペンが反応した数秒間はタッチ不能にするしかないんですが、そうなると、ペンで書きつつ指でちょっと画面をスライドさせる、といったことができなくなり、フラストレーションがたまります。
3.2.消しゴム機能
またデジタイザでの書き込みについて重要なポイントとしては、消しゴム機能があります。
今使っているTW710はワコムデジタイザ対応で、ペンにもよりますがだいたいはペンボタンか、後ろ部分が消しゴムになります。さっと消せてとても便利です。
しかしこのZen Stylusは、残念ながらペンボタンが消しゴムにならないんですね。
そのため、いちいちペン→消しゴムへとモードを切り替える必要があって、とても気軽に書いたり消したりというわけにいかない。
さらに、例えばonenoteの消しゴムモードだと、消す場合に直前の一書き分を一気に消してくれます。
これは、大量の書き込みを一気に消す場合などでは、ささっと消せるのでらくちんです。
が、ASUS謹製のアプリだと、本当に狭い範囲しか消してくれないので、なんというか、消しゴム付き鉛筆の消しゴムで大量の文字をごしごし消していくような感じになり、とてもやってられません。
というわけで、結局のところデジタイザ用途で使えるアプリといえばonenoteとmetamoji noteしかありません。
3.3.輪投げ機能
何よりも、輪投げ機能ですね。
これは使った方にはお分かりだと思いますが、デジタイザを利用する場合には必須の機能で、要するに書いた字や図形をペン先でくるっと囲んで選択し、それを移動させたり、拡大・縮小させたり、消去したりするものです。windowsだとonenoteで標準で対応しています。
がandroidの場合、僕の見る限りでは、これに対応しているアプリが現状ではmetamoji noteしかない。
例えば以下はTW710のonenoteですが、ペンボタンを押しながらこうやってくるっと囲めば選択できて
こうやって好きな位置に移動したり、拡大縮小したり、フォントを変更したり、消去したりできます。便利!
というわけでmetamoji noteしか使えないんですが、あれは便利だけど重いんですよね、動作が。
PDFをぱっと開いて、さっと書き込むなんて場合、windowsでは標準のリーダーアプリがあってとても便利なんですが、metamoji noteだと数十ページもあるようなPDFを開く場合、それだけでえらい時間がかかります。
また有料のmetamojiクラウドを使わないと同期ができないんですね。
windowsならPDFファイルを直接開いて、書き込んで、そのままonedriveなりに保存すれば、即、その書き込みを他の端末と同期できます。が、androidではそんなことできない。
3.4.その他
その他、Zenスタイラスの特色として、サークルランチャーを起動できるというのもあるんですが、登録できるアプリに限りがあるし、そもそもペンをずっと持っている状況なんてあんまないんで、普通に指で起動する方がいい。
ペンで囲んだ範囲を画像として保存する機能にしても、これ音が鳴るんですよね。カシャッと。
なので、電車の中などで気軽に保存というわけにはいかない。
というか、windowsタブレットなら、タスクバーのonenoteのはさみアイコンから簡単に画面の範囲選択→即onenoteに保存ができますし。もちろん無音で。
4.結論
というわけで、残念ながら、Zen stylusは完全に期待外れでした。
まあよほどのことが無い限り、進んで使おうという気にはなれないですね。
とはいえ、このZ580CAは基本性能の高さもあり、常に持ち歩いて使用しています。
なんだかんだ言って、軽くて、画面が綺麗で見やすいですからね。
スタイラスの用途を抜きにしても、この価格でこの機能性が得られるわけですから、個人的にはおすすめのタブレットです。
ASUSアウトレットが本気出しすぎでヤバイ
以前から安すぎで評判だったASUSアウトレットですが、ここ数日は値下げ幅がレッドゾーンを突破して、あまりの安さに買うつもりなかったものが急に欲しくなってきて、悩んで夜も眠れないくらいです。
色々あるんですが、とりあえずChiシリーズです。
このシリーズは2in1とはいえ、従来のTransBookシリーズと違いキーボードがBluetoothということで購入する気は皆無だったんですね。
ただ、実はこのシリーズ(T300chi、T100chi、T90chi)は全てSynapticsデジタイザに対応しており、Dell製のactive stylusが使えるという点で、ちょっぴり気になっていたんです。
で、そのchiシリーズの価格がすごい。
まずT300chiです。
CoreM搭載で、RAM4Gで、ストレージ128Gで、1980×1200の液晶で、そしてデジタイザ対応の、キーボード付き12.5インチタブレットが、お値段なんと
49800円。
これにOffice Home and Business Premiumプラス Office 365 サービス付きが、わずか1万アップの
59800円。
そしてT100chiです。
確かにストレージ32Gは微妙だし、Officeも付いていませんが、Atom z3775で、RAM2Gで、1980×1200の液晶で、キーボード付きの、デジタイザ対応10インチタブレットが、
なんと
29800円!
いやいやいや。
なんか気が狂ったのかと思うような価格です。
値段から言えばもちろん「買い!」の一言なんですが、問題は、買った所で使い道があるのかどうか、ということです。
vivotab note8が万能すぎて、今のところ他のタブレットを買っても使う用途が見つからないんですよね。
むしろ、使う端末を無造作に増やすと、各端末の設定を揃えたり、データの管理がめんどくさくなったりなど、使い勝手が悪くなるというのが今までの体験から得た教訓なので、理屈から言えばきちんと用途を考え、不必要なものは買うべきでは無いんです。
さらに言えば、windows10が発売され、夏以降はIntelの新CPU対応の新製品が続々各社から発表されるでしょう。
つまり、少し待てばより高機能の端末が出るのは確実で、買い替えには最悪の時期なわけです。
あらゆる理論からして、買う必要はないし、今は待つべき時期なんです。
と、頭ではわかってはいるものの、しかしあまりにも安すぎてスルーできない・・・。
というわけで、今夜も眠れずに悶々としそうです・・・。
Edgeの検索プロバイダーをgoogleにする方法
以前のレビューで、「Edgeはgoogleを検索プロバイダーに選べないから嫌」みたいなことを書きましたが、する方法がわかったのでまとめておきます。
①Edgeで「https://www.google.co.jp/」を開く
②この状態でも大丈夫だと思うけど、念のため、アドレスバーでアドレスを選択してコピーしておく。
③Edgeの右上の、「・・・」を選んで、「設定」→「詳細設定を表示」→「アドレス バーでの検索時に使う検索プロバイダー」のタブを選んで、「<新規追加>」を選ぶ。
すると「google」が追加されているはずなので、それを選べばオッケー。
なおEdgeの検索プロバイダーをgoogleにしても、タスクバーからの検索は相変わらずBingです。
それから、Edgeの検索プロバイダーを変更した後、タスクバーから検索できなくなったことが一度ありましたが、再起動すれば治りました。
とりあえず以上です。
windows10にアップグレード後、nVIDIAドライバーがエラー(コード43)を起こす問題とその解決
はい、というわけでまたまたPCトラブルでした。
前回書いたように、vivotab note8をwindows10にアップグレードしたわけですが、こちらは何の問題もなくスムーズに行ったんです。
ところが、同時にデスクトップPCもアップグレードしたところ、nVIDIAグラフィックドライバがエラーを起こしまして、低い解像度に固定されてしまうんですね。
で、これだけなら既に知られている不具合で、nVIDIAから修正のためのドライバーも出されているわけですが(353.62)、これをインストールしても何も変わらないんです。
(詳しくは↓)
なわけで、あれこれ海外サイトなども調べて数日間試行錯誤をした結果、このたび無事に修正されました。
結論から言えば「Virtu MVP」をアンインストールしたら治りました。
なんだかよくわからないのですが、とりあえず何かの役に立てばと、調べた限りの情報をまとめておきます。
続きを読むvivotab note8をwindows10にアップグレードした感想
というわけで、さっそくvivotab note8をwindows10にアップグレードしてみました。
やり方とかはざっくり省いて、大まかな感想を言えば「1歩進んで1歩下がった」感じですかねえ。
言い換えれば、windows10は、windows8.1であったようなデスクトップとタブレットの折衷状態を何とかして融合しようとした結果として、一定の進化を遂げたものの、タブレットとしての使い勝手をスポイルしてしまった、という感じです。
とりあえず、気が付いたポイントを気の向くままに列挙していきます。
※重大なバグ(?)が見つかったらしく、ちょっと追記あり(8月4日)。
edgeについて
いやー、まさにこのためにvivoをアップグレードしたようなものです。
edgeでサイトにペンで直接書き込みして、そのままonenoteに保存できるという、vivotabのためにあるようなedgeの最大の売り。
前々からこの機能は欲しくてたまらなかったんですよね。
これに関しては文句なく◎です。
ところが肝心のedge自体がいまいちなところがあり、諸手を挙げて絶賛という訳にはいかないのがwindowsらしいところと言いますか。
まず検索プロバイダーにgoogleが選べない。この時点で規定のブラウザにedgeを選ぶ動機が半減します。
※8/10追記 検索プロバイダーをgoogleにできました
そして最大の問題は、「左右フリックで進む・戻るができなくなった」ことです。
以前も少し触れましたが、windows8.1の最大の長所は、ストア版IEの使い勝手の良さです。
あのサクサク感に操作性、そしてflash対応であらゆるサイトを表示崩れせずに見られること、これが自分にとってandoroidタブを使わなくなった最大の理由だったわけです。
ところがedgeの場合、タブレット状態で進む・戻るを選ぶ場合には、あのちっこいアイコンをいちいち押さなくてはならない。
これだけで、edgeを使うモチベーションがさらに下がります。
タブ表示だって、win8のストア版IEのように、タブレットモードにしたらタブを隠すようにしてほしい。
とにかく細かい操作性で、行き届かないんですよね。
というわけで、微妙な仕上がりになっております。
システムの容量が減った
自分のvivoは32Gで、windows8.1のときはもう残り5Gも無くて容量がカツカツで困っていたのですが、windows10にアプグレして余分なファイルやフォルダを消したところ、残り容量が一気に12Gまで増えました。
これは助かりました。文句なしに◎です。
「カレンダー」アプリが良くなった
基本的に、現在でもOne Calendarがメインのカレンダーアプリなことは変わりないんですが、デフォルトのカレンダーアプリもかなりよくなっています。
まずgoogleカレンダーと標準で連携するようになりました。one calendarではgoogleとの連携が有料であることを考えれば、これは大きなアドバンテージです。
さらに良い点は、スワイプで「1日→週間→月」へと表示が変わることと、週・一日予定のときに現時刻が表示され、次の予定までの時間が直感的にわかりやすくなったことです。
この、「現在時刻が表示され、次の予定までの時間が感覚的にわかること」は、個人的にはすごい欲しい機能だったので、これだけでもう、one calendarから移りたいくらいです。
なんですが、これまた細部で行き届かないんですよね。
まず、ライブタイルで明日以降の予定表示をしてくれない。
自分の用途としては、スタート画面でニュースや天気、予定などを一望で閲覧したいので、これはかなり大きなマイナス点です。
最大の問題は、スケジュールの入力・編集がしづらいことです。
スケジュールごとの色分けもできないのもきついですが、何より「繰り返しイベント」が入力できない。
というわけで、当分はone calendarがメインアプリのままですね。
「マップ」が地味に良いかもしれない。
もちろん「地図アプリ」としての総合力の高さという点では、googleマップに比べれば劣っています。
ところが特定の用途に限ってみれば、windows10のデフォルトマップは、googleマップをしのぐかもしれません。
それはどういうことかと言えば、「特定のお気に入りの場所までのルートを素早く確認すること」です。
ご存じの方も多いと思いますが、現在のgoogleマップだと、お気に入りで登録した場所の名前を変更できないんですよ。なんかマイ・プレイスを見ても「3.1526.52」みたいな数字になってたりするんです。
だから、登録する場所が増えれば増えるほど「あれ?あそこってどこだったっけ?」みたいにわからなくなってきちゃいます。
それに対しbingマップは、お気に入りに登録した場所の名前を編集できるので、「お気に入り」タブですぐに目指す場所を探し当てられる。
そしてなにより、ルート案内がかなり見やすく、充実しています。
残念ながら条件指定の仕方がややこしいし、旅費までは表示してくれませんが、急いでいるときに現在地からさっと目的地までの経路や時間を知りたいときにとても便利だと感じました。
コントロールパネルとPC設定の二重体制がだいぶマシになった
これをメリットと挙げてよいのか困りますが、以前ほどひどくはなくなった、かなあ。
とはいえ、設定項目が二か所に分散していること自体を何とかするべきなんですけどね。
タブレットモードでデスクトップが消滅した
これは個人的にはかなり大きなマイナスです。
長年の習慣として、デスクトップに色んなフォルダへのショートカットやら、作成途中のファイルやらを並べて、デスクトップを一種の作業場として使ってきました。
ところが、タブレット・モードではデスクトップの概念が消滅するので、ほとんどタブレットモードを使わないことになります。
これでは、何のためのタブレットモードなのかがわからなくなります。
この点では、むしろ、デスクトップとメトロUIを折衷させたwindows8の方がまだマシだったように思います。
チャームからスタートに行けなくなった
これは自分だけでしょうか。
windows8.1なら、タブレットを持った状態で右手の親指をさっさと動かせばすぐスタートに行けたわけですが、windows10だとスタートボタンを押さないといけなくなりました。
確かにタブ横にスタートボタンがあるから大した手間ではないとはいえ、持った状態でなくケースなどに立てかけた状態だと、いちいち画面隅のスタートボタンを押さないといけなくて、微妙に、というかかなりやりづらさを感じます。
スタート画面が微妙
windows10のポイントとして、スタートボタンの復活が良く言われますけど、これってぶっちゃけそんなに良いですかね?
「ファイル名を指定して実行」などの項目も無いし、正直、windows8の時に利用していた、スタートボタンを追加するサードアプリの方がまだマシだと思いました。
最大の問題は、おそらく「スタートボタンメニュー」に収めるためだと思いますが「スタート画面でのタイルの並べ方の自由度が減ったこと」です。
横に3列しか並べられないから、タイルの並べ方のデザインにこだわっていた自分としては、すごくストレスが溜まります。まあ、どうでもいい人にはどうでもいいかもしれませんが・・・。
まとめ
自分の感想として、windows8.1は、確かにデスクトップとメトロUIの折衷という中途半端なところがあったとはいえ、タブレット用のOSとしてはわりと良かったと思っています。
タイル形式のスタート画面も個人的には好きだったし、ストア版IEはタブレットでは本当に使い勝手が良かった。
スタート画面でライブタイルで様々な情報を閲覧しつつ、そこから作業場としてのデスクトップに行ける、というのも、直感的にわかりやすかった。
実際、何だかんだ言われても、windowsタブレットが一定の成功を収めたように、「タブレット用のOSとしては」windows8.1は良OSだと思います。
今回のwindows10は、そのwindows8.1のタブレット用OSとしての良さをスポイルしつつ、デスクトップPCユーザーへの利便性を高めるという、極めて微妙な方向に進んだ印象です。
もちろん、今後さらなるアップデートで変化するのだとは思いますが、現状、タブレットのみの用途としては、「うーん」と言わざるを得ないできですねえ。
今後に期待します。
デジタイザの重大なバグ?(8月4日追記)
BSOD and unexpected restarts while using pen input on Asus VivoTab - Microsoft Community
詳しくは上記リンク、および2chのvivotabスレをご覧いただきたいのですが、どうも、「手のひらなどを付けた状態でペンを使おうとすると再起動する」という報告があちこちで見られます。
そう言えば自分も、一度だけ発生しました。が幸いなことに、自分はそれ以後は発生していません。
現状では、ドライブ容量が減る以外に、ものすごい改善という状況でもないので、さほどwindows10に魅力を感じていない人ならしばらく様子見した方がいいかもしれませんね。
vivotab note8のケースを改造したら神タブレットに化けた
道具の使い勝手というのは、道具それ自体の特性というよりも、使う側の使い方にも大きく左右されるのだなあ、という話。
さて購入して以来愛用してきたvivotab note8だが、最近いまいち影が薄くなってしまっていた。
が、このたびふと思い立ってケースを改造してみたところ、めちゃくちゃ使えるタブレットに大変身した。
vivotab note8のケースについては、同じような悩みをお持ちの方も多いと思われるので、ちょっと記しておきたい。
二つの選択肢
さてvivotab note8のケースは色々あるけれど、選択肢は大まかに二つに分けられると思う。
一つは、以下のような形の、ケース裏側に溝があって立てかける角度が2段階に調整できるタイプのもの。
Asus VivoTab Note 8用 スタイリッシュケース 黒ブラック【ネットショップ ロガリズム】ASVN801-K
- 出版社/メーカー: CSPDA
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
もう一つは、以下のような形の、ハンドストラップやペン収納ベルトが付いているタイプである。
IVSO オリジナル ASUS VivoTab Note 8 M80TA 専用PUレザーケース 超薄型 最軽量 ハンドストラップ付+カード入れ+スタンド機能付 (ブラック)
- 出版社/メーカー: Gambolex
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログを見る
便宜上、前者を「スタイリッシュタイプ」、後者を「ハンドストラップタイプ」と読んで分けておきたい。
これらはそれぞれ、メリットとデメリットがある。
スタイリッシュタイプのメリット・デメリット
このタイプのケースの良さは比較的に軽量・薄型であることと、卓上での使い勝手である。
仕事にもよると思うが、外出が多く出先の作業でタブレットを使う場合、やはり喫茶店などで使用することが多いと思われる。
そのような場合、卓上で見やすい角度に調整できるというのはかなりありがたい。
特にペンを用いるような場合には、寝かせ気味の角度で使用するのが望ましい、というか、立てる角度が急だとペンを押し付ければ倒れてしまうわけだから、実質的にそうするしかない。
そのようなわけで卓上での作業時には便利なのだが、このケースの問題はペンの収納場所が無いことと、卓上以外での使い勝手である。
もちろん人によって色んな用途があるとは思うが、僕自身の主観では、デジタイザ付きwindowsタブレットの最大のメリットは、onenoteとの併用による情報処理の汎用性と生産性だと感じている。
例えばバスや電車での移動時に資料を集め、それに書き込みを入れて保存するとか、電話やミーティングで誰かと喋りながらメモやアイデアを書き出すとか、である。
とはいえこのような用途に用いる場合には、付属のペンではやはり機能不足で、やはり2ボタン+消しゴム付きのペンが必須だと感じる。
そんなわけで自分はいわゆる富士通ペンを使っているのだが、問題はこのペンをどこに収納するかである。
必要に応じてサッと使えるためには、やはりケースに収納できるのが望ましい。
さらに移動中など立ちながら片手で持って使用するには、8インチは微妙なサイズである。
片手で安定して持つためには、やはりバンカーリングなりハンドストラップなりが欲しいところだ。
ハンドストラップタイプのメリット・デメリット
というわけで僕はvivotab note8購入以来、こちらのハンドストラップタイプを愛用してきた。
右のゴムバンドにペンを収納し、中央のハンドストラップに手を通して用いる。
少し厚みがあるが、畳んだ様子も安っぽさが無く、手帳のような外観なのも良い。
というわけでこのケースはかなり気に入っていたのだが、問題もあった。
一つは、ベゼル部を覆う構造のため、画面外からのフリックがしづらいということ。
そして最大の問題は、立てたときの角度である。
垂直に近い角度で固定されるため、卓上でのペン作業がとてもやりづらいのである。
卓上での作業がやりづらいと、せっかく資料やメモを集めても、整理する作業が億劫になってくる。
で、onenoteには活用されないままのメモや資料が増えていく。
そうなると、やがてメモ取りや資料集めにvivotabを使うこと自体が減っていく。
かくして、単なる娯楽・閲覧だけでよいということになれば、じゃあandroidで良いよね、ということになるわけだ。
以上をまとめよう。
ハンドストラップタイプは場所を選ばず作業するのに向いている、すなわち汎用性が高いが、肝心の卓上での作業がやりづらく、生産性が落ちる。
スタイリッシュタイプは、卓上で便利であり生産性を高めてくれるが、ペンが収納できず片手持ちもしづらいので取り回しが悪く、汎用性が低い。
というわけで、vivotab note8の汎用性と生産性を生かすためには、両者の長所を併せ持つケースが欲しい、という結論になる。
つまりハンドストラップとペン収納ベルトがあり、かつ角度調整ができるケースである。
当初は、同じようなニーズを持つ人も多いだろうから、いずれそういうケースが発売されるだろう、と思っていた。
ところが、待てども待てども一向に出てこない。
というわけで、無いなら作ってしまえということになったわけである。
というわけで自作した
自作といってもたいしたものではない。
ベースにしたのはスタイリッシュタイプであり、そこに100均で買ってきた、なんか手帳とかを閉じる用のゴムベルトをつけただけである。
で、ベルトの端っこを少し余らせて、布用のボンドでくっつけてホッチキスで閉じてペン収納場所を作った。
一つ注意点は、このスタイリッシュタイプは、蓋を噛み合わせて固定する部分がとてもきつく、そのまま閉じると端末側面にキズが付きやすいということである。
なのでニッパーなどで噛み合わせの部分を少し広げてやったほうが良い。
確かに蓋がパカパカするが、別に不都合はない。
持つときはこのようにゴムベルトに手を通す。
ちょっと緩めだが、これでも十分に安定する。
本当に子供の工作みたいなちゃちな改造なのだが、個人的にはものすごく便利になった。
まず重さはさておき、ハンドストラップタイプに比べて薄くなったのでかさばらなくなった。
また卓上での作業が捗るから作業の継続性が上がり、それがさらに作業効率全体を高める結果となった。
まあこの辺はiPadでもandroidでも同じなんだろうけど、やはり使いこなすための熱意と工夫があれば、道具はどんどん便利になっていくんだなあ、とあらためて感じた。
派遣法改正をめぐる審議を読んで、民主党がダメな理由をあらためて痛感した
なにやら派遣法の改正があちこちで話題になっています。
<労働者派遣法改正案>専門職26業務も「雇い止め」続出 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
これまで働く期間に制限がなかった通訳など専門26業務の派遣労働者に雇用不安が広がっている。改正案は専門26業務を廃止し、受け入れ期限を一律最長3年にする内容だが、法案成立前の今、3年後の雇い止めを言い渡されたと訴える26業務の派遣労働者が相次いでいる。
確かに従来期限の制限がなかった派遣業務について、一律3年の期限を定めるというのは、そこだけ見れば改悪に他なりません。
ただ、そもそもなぜそうする必要があるのか、いまいち納得できなかったのですね。
というのも、安倍政権を全面的に肯定するつもりはないものの、いわゆるジョブ型雇用の促進といったスローガンが示すように、安倍政権が基本的には拘束度の高い日本型正社員の雇用形態を問題視しており、ワークライフバランスに合う多様な働き方の幅を広げる方向を目指していると思っていたからです。
それがなぜ、派遣労働を追い詰めるようなことをするのか。
実際に議事録を読んで自分なりに整理してみました。
といっても時間がないので平成27年5月15日の厚生労働委員会の議事録だけになります。
「派遣は悪」なのか?
というわけで議事録を読んで、気になったことをまとめていきたいと思います。
「つまり、三年以上やれるような仕事なのであれば、これは派遣の仕事じゃないんだ、正社員の仕事なんだ、だから正社員の仕事を守る、つまり、本来正社員の仕儀とを派遣に代替させちゃいけないんだという意味での常用代替防止」
「派遣法のこの常用代替防止こそが、これまでの派遣法の主な目的だったと思います。派遣労働者保護ではなくて、いかに正社員を守るか。」
派遣法というものの性質について分かりやすく整理してくれます。
つまり派遣法は、「正社員を守るか・派遣労働者を守るか」という、容易に調和しがたい相反する目的を抱えている法なのであると。
で、従来の派遣法は期限の上限を定めることで、正社員の保護・常用代替防止に主眼が置かれていたと。
そして今回の改正は、派遣労働者の保護に力点を移していこうとするものであると。
さて、ここで押さえておかないといけないのは「派遣を増やすなんてひどい!」という価値観と、「派遣を減らすなんてひどい!」という価値観の争いです。
要するに「派遣は悪なのか?」ということです。
僕は現在看護学校でいくつか講義を受け持っているのですが、その中にはかなり多くの社会人の方が見られます。
そして話を聞くと、もともと正社員だったが激務で体を壊した方、離婚して子供を抱えた主婦の方など、切実なニーズを抱えた方がかなりいらっしゃいます。
中には、正社員を辞めて派遣で働いていた時に「自分はダメ人間だ」というマイナスのレッテルを受け入れ苦しんでいた方もいらっしゃいます。
そういう状況を見るにつけ、いわゆる日本型正社員の働き方ができない方が一程度いらっしゃること、そして派遣ないし非正規という働き方を直ちに悪とみなす考えを見直し、非正規という働き方を劣悪なものにしてしまう価値観や制度を変えていくことが必要だと強く感じています。
そうしたなかで、次のような質疑は大変に共感できました。
(自民党・大岡敏孝の質疑より)
「今回の法改正では、正社員化ということを大きな目標に定めているように見えます。(・・・)この正社員化を目指すという考え方の背景に、従来の価値観、つまり、正社員が上で派遣が下、下の人ができるだけ上になるように目指していく、こういう価値観がどこかに残っているのではないかと考えます。」
「(安倍総理が目指す多様な働き方は)恐らくそうではなくて、正社員が上で派遣が下という考え方そのものを改革して、もっと水平的にしていくと。正社員も あるし、契約社員もあるし、そして派遣もあるしパートもある、それぞれをそれぞれの個人あるいは家庭の状況やライフステージにあわせて選択をしてい く、・・・そういう生き方を目指すことこそが、総理の言う多様な働き方ではないかという風に考えております。」
同じ与党ですから意見のすり合わせなどをしているだろうし、スムーズなやり取りなのは当然としても、派遣・非正規を「正社員のなり損ない」とマイナスのレッテルを貼るのでなく、ワークライフバランスの多様性に合う働き方として積極的に認めていく。
こういう理念が与党や内閣できちんと共有されているということ、そしてその理念を追求するために、同じ与党であってもおかしいところは追求していく、そういう姿勢が見られたことは個人的には心強いことだと感じました。
なぜ業務単位から個人単位に切り替えるのか?
もちろん、今回の改正案について与党側の見解に全く賛成というわけではありません。
例えば一律3年の期間制限は、明らかに「正社員が上で派遣が下という考え方そのものを改革して、もっと水平的にしていく」方向と相容れないように思います。
というか、そもそもなぜ専門26業務の限定をなくし、一律3年にするのか?
僕なりにまとめると次のようになるようです。
- もともと、今年の10月1日に施行される「申し込みみなし制度」について、専門26業務の内実がわかりづらいから何とかする、ということが2011年の民主・自民・公明三党共同提出の附帯決議で決まっていた。
- そもそも専門26業務の縛りは常用代替防止が目的だったし、そのなかでも多くの人が、派遣先との契約では無期でも、派遣会社との契約が「有期の反復」になっていて形骸化してしまっている。
- なら、業務の縛りをなくし派遣元との契約で有期と無期を分けてしまおう。派遣元と無期契約の労働者は、派遣先との契約も制限しない。それ以外は一律で3年にする。
「26業務で期間制限がないと言われている人たちは、派遣全体の中で四割。ところが期間制限がないにもかかわらず、ちゃんと無期で雇われている人というのは17%しかいない。そのほかの方々というのは、期間制限がないと言われているにもかかわらず、有期で、しかも有機が反復でどんどん雇用されている、次は果たして契約更新されるのかどうか、常に不安の中で仕事をされているという風な状況です」(伊佐氏の発言)
ポイントは、派遣労働者全体が一律3年になるわけじゃなく、派遣元との契約が無期の労働者は、派遣先との契約でも制限がない、ということです。
「今回の派遣法も、個人単位で3年で切られるじゃないかというのが本来の主旨ではなくて、無期は除外されますから、無期転換すれば期間制限はないわけです。・・・今までの反復反復で契約が繰り返されるような一番極度な不安定な状況からまず無期転換してあげて、そのうえで正社員をめざしていく。私は、これが今回の一つの意味じゃないかなという風に理解をしております。」(伊佐氏の発言)
これはわかります。
派遣という働き方を望む人で、かつ長期的な雇用を求める人であれば、派遣会社が無期雇用で雇ってきちんとキャリアの育成とか派遣先の斡旋について責任をもってやっていくようにするべきだと。
しかし問題は、「派遣会社と無期契約できなかった人たち」で、つまり年齢なり能力なりの事情で労働市場で極めて弱い立場にあり、派遣会社からも無期雇用を断られる懸念のある人たちのことです。
不安定な「有期の反復」派遣でも、アルバイトになるよりはまし、という状態の人たちに対して、今回の改正はいわば「引導を渡す」ような形になっている気がします。
先ほど上で、「正社員化を目指すということは、派遣を下に見る価値観があるのではないか、それは多様な働き方の理念と矛盾するのではないか」という問題が提起されていましたが、まさにこういう部分で「ぬるい派遣を許すと甘えて固定化しちゃうから、ケツをひっぱたいてでも追い出さないと」みたいなシバキ主義のにおいを感じるんですよね。
この審議でも、厚生労働省側の役人が繰り返し
「(3年という)節目節目にちゃんと自分のキャリアの見つめ直しをしていただく」
ってことを言ってますが、「自分のキャリアを見つめなおす」ってのは、要するに、無期雇用の派遣になるか、あるいは正社員になるかってことでしょうが、そのどちらも難しい人はどうするんでしょうね?
「〇ねってことだよ言わせんな恥ずかしい」ってことなんですかね。
他にも、派遣元で無期になっても結局派遣先で切られちゃったら不安定じゃん、という質疑に対し、はっきりした答えが出ていません。
「派遣元事業主は、無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了のみをもって解雇してはならないということを指針に規定する、それからまた、派遣契約の終了のみをもってかいこしないようにすることを許可基準に記載することが適当であるという建議を頂戴しておるところでございます」(坂口政府参考人)
今回の改正のキモのひとつに、派遣事業主への規制を強化するために、届け出制をやめて一律許可制にするということがあります。
その許可基準に規定を盛り込み、派遣先契約終了での解雇があれば派遣事業の許可を取り消す、という厳しい処分を下すのであれば実効性はあるかもしれません。
ぜひともはっきり決めて欲しいところです。
イメージ戦略が、民主党のイメージを悪化させている
以上のように、自民・公明が「多様な働き方」というビジョンに基づき、常用代替防止から派遣労働者保護へという方針を提示し、疑問点が残る部分はあるものの、それなりに納得のいく政策提案をしていることが感じられたのに対し、民主党の立場はいまいちわかりづらかったです。
「私は、労働者派遣法は、多様な働き方を働く人たちに提供するという極めて耳障りのよい言葉で飾り立てられてはおりますけれども、労働者の権利、そして女性の権利ということからすれば、やはりこれは大変大きな問題がある制度だという風に思っております。」
「(結婚したスキルのある女性が)自分の都合のいい時間帯を使って外に出て働くということは、まさに性別役割分業意識とぴったり鍵穴が合うように、マッチしたよ うに社会の中に広がってしまった。それがどんどん専門業務以外のところにも広がってきてしまって・・・」(民主党・西村智奈美)
この辺を読んだ時に思わずのけぞってしまいました。
どうも、派遣というのは性別分業という悪しき風習を補完する悪しき制度であり、それが拡大していくのはケシカラン、というレベルの認識みたいなんですね・・・。
「この労働者派遣法の改正の中で、 常用代替の防止ということ、それから臨時的、一時的であるという原則、この労働者派遣の原則である二つの原則が、派遣業務の 制限が撤廃されたこと、そして派遣期間の制限がなくなってしまったこと、このことによって本当に大きく捻じ曲げられてしまったという風に思っています。」 (民主党・西村氏の発言)
今回の改正の争点は、派遣元と有期契約の派遣労働者について、業務を問わず一律3年の派遣期間が定められたことかと思っていたのですが、むしろ「派遣期間の制限がなくなってしまったこと」が問題という認識のようです。うーむ。
他にもドイツの事例を挙げ、派遣期間の制限をなくした結果、派遣労働者が2.4倍に増えたことを指摘しつつ糾弾していますが、やはり「派遣期間を3年に制限したこと」でなく「制限をなくすこと」が問題だとみているわけですね。
「派遣になることは可哀想なことなのだ」というわけでしょうか。
そういうつもりはなくても、現状「派遣はダメ人間」といったスティグマを押し付けられたなかで派遣という働き方をせざるをえない、そうした人たちのことをどう考えているのでしょうか。
確かに、正社員雇用の世界が男性に独占された結果、女性が非正規にはじき出されているという面はあります。
しかし、正社員の男性たちだって決して幸せだったわけではありません。家族から疎外され、孤独に苦しむ中高年の男性たちも多くいました。
他方で、男性が負担度の高い働き方を強いられる反面、企業が住宅や教育など様々な福祉機能を担ってきたという面もあるわけです。
そして社会全体の仕組みとして、そういう働き方に最適化されてしまっているという現状もあります。
おそらく民主党の目指すのは、均等待遇を前提としつつ、派遣を一時・臨時雇用に限定するというものだと思います。
しかしなぜ均等待遇が日本で難しいかと言えば、それは日本的な正社員が濱口氏がいう所のメンバーシップ型であり、単純に職務で賃金が決まっていないからです。職務給が一般的で、業種ごとの労働組合が成立するヨーロッパとは事情が異なるわけです。
そういう現状において、均等待遇とは何を意味するのか。
すべての人が、負担度の高い働き方を強いられるということなのか。
あるいは、今の日本型正社員の働き方を変えていく、欧米で一般的なジョブ型雇用へと全面的に切り替えていくということなのか。
それなら、では住宅・教育・退職金など今企業が負担している福祉機能はどうするのか。
そういう日本の現状の現実ということを踏まえずに、ただヨーロッパでは派遣は一時・臨時であるという理念だけを持ってきて、安倍政権を叩く題材にしているのではないか。
日本の現状を無視して、「ヨーロッパでは一時・臨時が当たり前なのに、一生ハケンなんてひどい!」と叫ぶことが、本当に日本の派遣労働者の人のためになるのか。
それは結局「正社員は上、派遣は下」という価値観を再生産し、今派遣で働くしかない人たちにスティグマを押し付ける結果になっているのではないか。
いずれにせよ民主党は、日本の現在おかれた困難を、性別分業・新自由主義・あこぎな経営者のせい、といった形で「善と悪」に単純化し、「正義」をかざして悪を非難する、そういうレベルで認識が止まっているように見えます。
そして悪のイメージを安倍政権に付与しようと躍起になっている。
しかしそういうイメージ戦略が、かえって民主党のイメージを悪化させてしまっているように思います。
例えば今回の審議では、民主党のほとんどの攻撃は「10.1ペーパー問題」に集中していました。
詳しくは省きますが、確かにこれについて厚生労働省側にも落ち度があるのは間違いないと思います。そして、それなりに大事な問題だとは思います。
でも「ああ、またか」とげんなりするんですね。
また国民置いてけぼりで政治ごっこに夢中になってるのね、と。
繰り返し言いますが、「正しい正義」を掲げて「悪い奴ら」を倒せばいいという状況ではもうないんです。
戦うべきは、歪みを孕んだ形で最適化されてしまった日本社会の構造であり、自民だの安倍政権だのといったちっぽけなものではない。
ただ「反自民・反安倍」を叫ぶのではなく、まず民主党自身として今の日本社会の問題が何に起因しているのかしっかり分析し、そのうえで具体的なビジョンなり代案を自民のプランにぶつけ、共通するところは認めあって協力して改善に取り組む、また違う部分はクリアに示し国民に選択を求める、そういう姿勢に切り替えたほうがいいのではないかと思います。